チェンソーで悪魔?アニメなど子供のみるものだと馬鹿にしてましがた、完全に間違ってました、素晴らしい作品です。「大人向け」の作品です。
暴力、グロテスクな描写、倫理的ギリギリの表現が多く含まれていますが、それは単なる装飾です。
その裏側には、現代の苦悩と闇に迫る深めなテーマが隠されています。
特に主人公デンジの「純粋さ」は、今を生きる若者の姿そのものに思えます。
原作: 藤本タツキ
出版: 集英社『週刊少年ジャンプ』(第1部)、『少年ジャンプ+』(第2部)
アニメ: MAPPA制作(2022年10月~12月放送)
主な登場人物: デンジ、マキマ、パワー、アキ、早川アカネなど
チェンソーマンのあらすじ
舞台は、悪魔が存在する世界。主人公デンジは、借金に苦しむ少年。相棒のチェンソーの悪魔・ポチタと共にデビルハンターとして生活していますが、ある事件をきっかけに死亡。しかし、ポチタと契約し、チェンソーの悪魔として生き返ります。その後、公安デビルハンターとして悪魔退治をすることになります。
「搾取」「支配」「無知と従属」です。
物語の構造:貧困と搾取の上に築かれた世界
極度の貧困の中で生きる少年デンジが父親の借金を背負い、臓器の一部を売り、悪魔狩りという危険な仕事で生き延びる姿は、現代社会の底辺に生きる人々の象徴とも読み取れます。
デンジの唯一の夢は「パンを食べる」「女の子とデートする」という極めて当たり前な欲求です。これは現代社会において、本来あるはずの「普通の幸せ」が、いかに遠く困難なものになっているかを象徴しています。
「支配の悪魔」としてのマキマの存在がえぐい
マキマ(支配の悪魔)が体現する「支配」への恐怖は、現代社会における権力構造や階層秩序への不安を反映しています。マキマの冷徹な魅力は、体制やシステムが個人に対して持つ不思議な吸引力を表現してるのかもしれません。
純粋なデンジはマキマと「普通の関係」を求めますが、彼が普通がなにか本当に理解していないので、マキマはそれを巧みに利用してます。マキマとデンジの関係は、知識と権力の非対称性がもたらす搾取の構造そのものです。
やっかいなのは、デンジやパワー(仲間の魔人)のような主人公たちは、自分たちが置かれた状況の全容を理解していません。それは私たち読者もまた、自分たちが生きる社会システムの複雑さを十分に理解できていないことの象徴だと思います。
社会システムを疑うことを知らないので、支配されてる事すら理解できてない…デンジたち
自己犠牲の経済、悪魔との契約
悪魔との契約は、一見すると「win-win」の取引の関係を謳いながら、実際には弱者から搾取する構造だと思います。デンジとポチタ(デンジと契約した悪魔)の関係は、相互依存という形での「契約」ですが、デンジの「心臓」という生死と引き換えに成立しています。
パワーとデンジの関係、アキの悲劇
パワーは、システム化された社会や期待に対する抵抗のようなキャラクターと思います。デンジと同じで狂暴ですが純粋、素直、個人である弱さを表し、パワーとデンジの関係も、搾取ではなく、この世界の友情や愛情関係の希少な例と言えると思います。それはマキマとの関係と対照的であり、作中の少ない安らぎのシーンだと思います。
また、先輩公安デビルハンターのアキは、システムに忠実に従う人物として描かれていてますが、最悪の最後を迎えます。秩序や権威に従順であれば安泰なんてことはないと思い知らせれます。
海外評価
NetflixやCrunchyrollで配信されたことで、世界中で人気となりました。
海外ファンからは「現代版のダークファンタジーの最高峰」「人間の愚かさをここまで描いた作品はない」と高く評価されています。
宗教色や倫理のラインを超える表現もあり、国によっては賛否が分かれているようですが、ここまで太い話なので社会的意義を持つことの証かもしれません。
深すぎて、眉間にシワが…
そのグロテスクな表現を通じて、不快な真実を突きつけられます。現代の問題とマッチしてるので観てると眼光が鋭くなり、眉間にもしわが寄るアニメです。
マキマ = 支配者
デンジ、パワー、アキなど = 弱者
マキマは「支配」の象徴であり、彼女は徹底して弱者をコントロールします。しかし、それに気づかないデンジたちの姿は、現代で生きる社会の縮図です。
この構造に思い知らされ、マキマは不思議な魅力のあるキャラクターですが、マキマへの最後のデンジの行動がわかりすぎるくらいわかります。
「それくらいしていいよ、こいつには…」と普通に感じました
「何だかわからない」「気持ち悪い」と感じた方も多いと思います。それが、作者藤本タツキの狙いだと感じます。安心感やわかりやすさを捨てた作品であることは間違いありません。
第2期が予定されていますが、どうなるのやら…怖いけど観ると思います。
PS:「生きることは泥臭く、決してきれいごとだけではない」。
この作品はその現実を、容赦なく突きつけてきます。
好みは分かれますが、他に同じ匂いの作品は存在しません。
名作です。